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5.クーリングオフできない場合
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 クーリングオフは、法令上、特定の販売形態・取引内容につき、指定された商品・権利・サービスを対象としてのみ、一定条件の下に認められる一方的かつ無理由解除の制度であります。
したがって、それらの要件に当てはまらないケースにおいては、クーリングオフできないことになります。逆に言うと“どんな取引でも一定期間は無条件解除できるというわけではない”ということに注意が必要です。

 まずは、一般的な取引形態である (1) 店舗での取引の場合、例えば、スーパーマーケットでの食料品の購入のようなケースを考えて下さい。この場合、消費者が自分自身で任意に商品を買い物カゴに入れ、レジまで持っていって精算するという方法が通常取られますが、その過程に消費者が“業者からの不意の勧誘により、冷静な判断をできないまま意思決定してしまう”といったことは存在しません。したがって、エステティックサロンのおける美容サービスのような特定の取引内容にでも当たらない限り、クーリングオフできないということは当然にお分かりのことと思います。

 次に、訪問販売において、(2) 自ら業者を自宅等の指定した場所に呼び寄せて取引した場合、これも上記@のように“不意の勧誘による冷静な判断の欠如”がないケースと言えますから、同様にクーリングオフの適用除外事由となります。

 また、(3) 過去1年以内に同じ業者と訪問販売により取引している場合(=店舗を構える業者のとき)も、上記(1)、(2)と同様、勧誘時における業者の不意打ち性が否定され、クーリングオフは認められません。これは、いわゆる“御用聞き”としての関係が消費者と業者との間にはあるという解釈によるものです。

 さらに、(4) 営業としてもしくは営業のために取引した場合も、クーリングオフすることができません。これは、クーリングオフ制度が消費者保護を目的とすることに由来します。すなわち、営業目的での取引においては事業者同士の取引関係ということになるわけですから、“消費者保護”という前提条件が当てはまらないということです。

 それから、(5) 海外の事業者と取引した場合も、クーリングオフの適用対象外です。なぜなら、クーリングオフは契約の原則論を捻じ曲げて消費者保護のために一定期間は無条件での解約を認めるという極めて政策的判断の色彩が濃いものであるところ、海外の事業者との取引となると国内法規のみに留まる話ではなくなるため、クーリングオフ制度の適用は認められない扱いとなります。

 その他、(6) 法令で指定された商品・権利・サービス以外のものが対象となる場合も原則としてクーリングオフは認められません。なぜなら、上記Dでお話しましたようにクーリングオフは契約の原則論を捻じ曲げるという極めて特異な制度であるため、何でもかんでも認めてしまうというのは業者側の利益を著しく不当に害する結果となります。そこで、消費者の利益と業者の利益との合理的調和の観点から、指定商品等以外のクーリングオフは、たとえ販売形態が類型的にクーリングオフを適用されるものであっても、なお原則的にその利用は認められないというわけです。

 それでは、以上のようにクーリングオフができない場合には“泣き寝入り”するしかないのかというと、そういうわけではありません。
そもそもクーリングオフは、契約解除の効果が最も端的かつ容易な手続で認められるものではあるものの、あくまでも解約手続の1つの手段にすぎないわけです。
すなわち、他の解約制度を利用することができる場合は、それにより契約解除の効果を生じさせることができれば、(具体的な条件・内容等にもよりますが)クーリングオフにこだわらなくてもよいとも言えます。
そこで、詳しくは「クーリングオフ以外の方法」をご参照ください。

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クーリングオフと悪徳商法